シリーズもの

路地裏のアルバ2|清潔感の正体

ripton

この世には、2種類の人間がいた。
“モテる者”と“モテざる者”。
アルバは、モテる者に憧れていた。
そんなある日、王都でも有名なレオンと出会う。
勇気を振り絞ったアルバに、レオンは静かに言った。
「明日の朝、お城の前で」

──そして翌朝。

アルバは、まだ薄暗い時間に目を覚ました。
緊張と期待感で、昨日はほとんど眠れなかった。

口をすすぎ、
パンをかじり、家を出た。

王都の中央。
“モテる者”たちの世界。

路地裏育ちのアルバには、
石畳が落ち着かなかった。

城門の前には、
既にレオンがいた。

黒いローブ。昨日と変わらない姿。

だが、
朝の光の中に立つレオンは、
やはり、妙に目を引いた。

レオンがこちらに気づく。
「おはよう」

アルバは慌てて頭を下げる。
「お、おはようございます!」

レオンは少し笑い、歩き出す。
「行こうか」
アルバは駆け足で後を追った。

中央通りは、
朝から人で溢れていた。

店を開ける人。
荷物を運ぶ人。
談笑する人。

アルバは周囲を見回す。

もっと、特別な場所だと思っていた。

だが、
歩いている人は、意外なほど普通だった。

豪華な服ばかりじゃない。
汗を流して働いている人もいる。
木箱を抱えて走る青年もいた。

レオンは何も言わない。
ただ歩くだけだった。

しばらくして、
アルバは耐えきれずに口を開く。
「あの……」

「ん?」

「俺、何か教えてもらえるんじゃ……」

レオンは前を向いたまま、
少し笑う。

「手を出してごらん」

アルバは言われるまま手を出した。

爪の間に、
黒ずみが残っている。

アルバは慌てて言った。

「し、仕方ないです!荷物持ちなんで!」

ほとんど反射だった。

レオンは否定せず、通りの向こうへ目を向けた。

そこには、
木箱を運ぶ青年がいた。

アルバと同じくらいの歳。

髪は短く整えられ、
爪も綺麗だった。

木箱を置いたあと、
青年はさっと手を拭き、
店主に頭を下げる。

店主は笑いながら、
水を渡していた。


アルバと木箱を運んでいた青年の違い

結論から言うと
アルバと青年の違いは“身分”ではなく、“日常の丁寧さ”です。

アルバは「荷物持ちだから仕方ない」と言いました。

しかし、同じように汗を流して働いていた青年は、
髪を整え、爪を清潔にしていたのです。

つまり、モテる者とは特別な才能を持つ人間ではなく、
“相手に不快感を与えない努力を日々積み重ねている人”だったのです。

たとえば、味が全く同じ料理の飲食店でも、
机が少しベタついていたり、
店員さんの服や手が汚れているだけで、人は無意識に不安を感じます。

それと同じで、人は相手の細部から
「この人はちゃんとしているか」を見ています。

レオンがアルバに見せたかったのは、“モテる世界”の派手さではなかった。
モテる者たちの“日常の気遣い”を見せたかったのです。

減点で嫌われる要素を消す

モテる人は、特別な“加点”を持っているわけではなく、
「嫌われる要素」を消しているのです。

人は、加点方式より減点方式の方が強く働く。

どれだけ顔が良くても、清潔感がない。
自分語りばかりする。
店員への態度が悪い。

そういった“減点”が積み重なると、人は一気に冷めていく。

逆に、突出した魅力がなくても、
一緒にいて不快感がない人は、長く好かれやすい。

仕事でも、
仕事が全然できなくても、明るく、
元気で人懐っこい愛嬌がある人は好かれます。

人間関係(特に恋愛)は、“必殺技”で勝つゲームではないのです。

減点を減らし、「一緒にいて疲れない人」になることの方が遥かに重要なのです。

清潔感の正体

恋愛でよく「清潔感が大事」と言われます。

しかし、多くの人はそれを、
「顔が整っていること」や「オシャレであること」
のような見た目の話であると勘違いしています。

清潔感の正体とは、“安心感”なのです。

人は相手の細部から
「この人はちゃんとしているか」を見ていると上に書きました。
つまり、
「この人と一緒にいて大丈夫か」を見ているのです。

だから、
不健康そうな顔色。
荒れた肌。
汚れた爪。
乱れた髪。
猫背。

そういった細部から、
無意識に“生活の乱れ”を感じ取ってしまう。

人は見た目を見ているようで、
実際には、その奥にある「暮らし」を見ているのです。

アルバは、
“モテる者”とは特別な才能を持った存在だと思っていた。
自分とは違う何かを持っていると思っていた。

しかし、レオンたち“モテる者”が持っていたのは、
落ち着き。
整った身なり。
余裕のある空気感。

そういう、
「ちゃんとしている」という安心感でした。

整えられたひげも、
綺麗な服も、
本質ではない。

清潔感は手入れされている人に宿る。

生活のだらしなさが滲み出ていれば、
不安定に見える。

恋愛で清潔感が重要視されるのも、
結局はそこに理由がある。

恋愛とは、
“何でもない日常”を共に積み重ねる関係

どれだけ刺激的でも、
不安定な相手とは、長く関係を続けられない。

だから、
姿勢。肌。髪。爪。
靴。
言葉遣い。

そういった生活の積み重ねが、
“安心感”として評価される。

清潔感とは、
単に風呂に入っていることではない。

丁寧に暮らしているか。
自分を雑に扱っていないか。
相手に不快感を与えない配慮があるか。

そういう“生き方”が、
外側に滲み出たものなのである。

まとめ『モテる人は「安心感」がある人』

一つ前の路地裏のアルバのまとめでも書きましたが、
モテる人は、特別なものを持っているわけではないのです。

モテる人は「相手を不快にさせる要素」を減らしているのです。

毎日髭を整える。
筋トレをする。
挨拶をする。

そういった地味な日々の積み重ねが、最終的に“安心感”になる。
そして人は、安心できる相手を選ぶ。

恋愛も、友情も、仕事も。
結局は、“この人となら長く一緒にいられそうだ”と思えるかどうかなのです。

りぷじぃ
りぷじぃ

路地裏のアルバは全4話のシリーズなのじゃ。
今読んだ物語は2話目じゃよ。

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

記事URLをコピーしました